エクソダス / ピラニア (1985)
1979年にカリフォルニア州リッチモンドで結成されたスラッシュメタルバンド。
1985年に発表されたデビューアルバム[Bonded by Blood]の6曲目に収録されています。
アメリカ西海岸を拠点にしているベイエリアクランチと呼ばれるスラッシュメタルバンドにおいて、トップに君臨するベテランバンドです。
高校の学内バンドとして結成された後に数本のデモ音源をリリースするなど活動をしていましたが、創設メンバーのKirk Hammettが[Metallica]に引き抜かれたりとメンバーが安定せず活動は苦戦を強いられます。
ですが、1984年にようやくマネージャーが契約するTorrid Recordsとの契約を果たし、アルバムのレコーディングへと漕ぎ着けます。
過激なジャケットが問題となってリリースが1年近く遅れたものの、デビューアルバムはスラッシュメタルの名盤と呼ばれて多くのファンに愛される作品となりました。
その中から、ライブでは必ず演奏される定番曲がこちらです。
2小節のドラムソロから始まるイントロはインパクト抜群です。
両手両足のコンビレーションを使用したツインバスを操るドラマーにとっては基礎中の基礎とも言えるフレーズなのですが、この後に続く凄まじいギターリフの布石となっています。
この曲は、とにかくリフが命。
ギャロップのリズムを高速で刻まれ、まるで首根っこを掴まれて無理やりヘッドバンギングをさせられているような感覚に陥ります。
ギターリフが強烈ならば、ヴォーカルもそれを凌駕するレベルで強烈です。
Paul Baroffの狂気にかられた叫び声は、もはや歌ではありません。
音程もリズムも全ての音楽的概念ばかりか理性すら捨て去り、力の限り喚き散らすスタイルはこの上なく暴力的です。
個人的には、この時期のExodusの音楽性を表現するにおいて最も理想的な声です。
全てを薙ぎ倒して突き進む突進力に圧倒されるばかりですが、その原動力はTom Huntingの個性的なドラミングでしょう。
極端に前のめりで、慌ただしく転がるようなフィールはなかなか真似できるものではありません。
ドラムのパターン自体はオーソドックスなのですが、バスドラムを踏むタイミングが他のドラマーよりも遥かに溜めを聴かせているので相対的にスネアのビートが強調されて聴こえます。
こういうプレイはリズムキープ力に優れたドラマーでないとアンサンブルが崩れやすいのですが、それをやり切る実力を持ち合わせている証拠です。
同時期に活動していたバンド達と比べると完全に出遅れてしまいましたが、サンフランシスコ近郊のスラッシュメタルのトップバンドに君臨することに成功しました。
そんな彼らの実力がひしひしと伝わる名曲です。
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