ハンマーフォール / ザ・ドラゴン・ライズ・ブリーディング (1997)
1993年にスウェーデンで結成されたパワーメタルバンド。
1997年に発表された1枚目のアルバム[Glory to the Brave]の1曲目に収録されています。
[In Flames]や[Dark Tranquillity]のメンバー達が集まり、サイドプロジェクトのカヴァーバンドとして結成されましたが、地元の音楽コンテンスとに優勝したことをきっかけにオリジナル曲での活動を決意。
Highlander(後に[Lost Horizon]と改名)でシンガーを務めていたJoacim Cansを招き入れてドイツの名門レーベルであるNuclear Blastと契約。
ドイツや日本で熱狂的に受け入れられ、当時のヘヴィメタルバンドの新人としては異例のセールスを記録したばかりか、新しいメロディックメタルのムーブメントまで作り上げた衝撃のデビューアルバムから、ファンの間では定番となっている人気曲がこちらです。
1997年当時はメロディックデスメタルの人気が高まっていき、それに対して正統派ヘヴィメタルの人気は下火になりかけていた頃です。
そんな時代に、まさかメロディックデスメタル界隈のメンバーが中心になって正統派ヘヴィメタルの人気を復活させる驚きの事態になりました。
ドイツの[Running Wild]に強い影響を受けた、勇猛なサビを持つスピード感のあるパワーメタルサウンドに、ファン達は酔いしれました。
一度聞いたら絶対に忘れないであろうサビのメロディは、本作の数ヶ月後に発表された[THE ALFEE]の[Brave Love 〜Galaxy Express 999] で引用していることからも、日本人の耳に馴染みの深いものとなっています。
勇猛な曲調に対して、アメリカの伝説的なエピックメタルバンド[Warlord]のDamien King(Vo)から強い影響を受けたJoacim Cansは、明らかにマイルドな性質にも関わらず何度も聴きたくなる不思議な魅力を持ち合わせています。
おそらく、メンバー達もここに気づいての採用だったのでしょう。
楽曲のアレンジも実に見事です。
ギターソロの後半部分でBメロの旋律をリフレインしたり、最後のサビでの大袈裟な転調など、こういったジャンルでなければ失笑を買うような安直な展開です。
ですが、こういったパワーメタルを好むリスナーの好みを熟知しているからこそ、堂々と愚直なまでのヘヴィメタルへの愛を込めてプレイできるのだなと思います。
この曲をきっかけに、メロディックパワーメタルの新しい時代が切り開かれる結果となりました。
インターネットスラングでクサメタルとも呼ばれていますが、まさにそれを代表する名曲です。
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