ブラック・サバス / ターン・アップ・ザ・ナイト
1968年にイングランドで結成されたロックバンド。
1981年に発表された10枚目のアルバム[Mob Rules]の1曲目に収録されています。
シンガーがOzzy OsbourneからRonnie James Dioへ交代した前作のHeaven And Hellは、バンドの持ち味とシンガーの持ち味が非常に優れたバランス感覚で成り立つ奇跡の名盤として多くのファンからの大絶賛を得ることに成功しました。
それに続く本作は、アルコール依存症の治療でバンドを離れたBill Wordの後任メンバーとしてVinny Appiceを迎え入れ、従来のBlack Sabbathらしさを幾分か取り戻した傑作となりまし。
その中から、アルバムのトップを飾るストレートなアップテンポナンバーがこちらです。
前作のHeaven And Hellで新加入したRonnie James Dioは、人気が低迷していたBlack SabbathにRainbow直系の様式美サウンドを加えて新しいバンドとして生まれ変わるきっかけを与えました。
続いての作品では彼もバンドに馴染んできたのか、Ozzy Osbourne時代の雰囲気がいくらか戻っており、非常に良いバランスで混ざり合っています。
どちらかといえば、あの名曲Paranoidの80年代バージョンと言っても過言ではないほどシンプルな楽曲ですが、各メンバーのプレイは非常に脂が乗っておりエキサイティングです。
これには本作から参加したVinny Appiceのプレイが大きく影響しています。
ハードロックにツーバスを使った激しいプレイを導入し、John BonhamやCozy Powellにも影響を与えた伝説のドラマーであるCarmine Appiceの実弟である彼は、手数が多くヘヴィにスイングするBill Wardのプレイとは打って変わって正確で堅実なリズムを刻みます。
また、派手なフィルインは多用せずに、ここぞと言うときにDeep PurpleのIan Paiceに影響を受けたであろうスピード感のあるスネア連打を行う裏方的なプレイです。
そこに影響されたのがGeezer Butlerのベースです。
これまではBill Wardのドラムの上に乗って共に寄り添うようにプレイしていたのですが、リズムキープの責務から解放されたことにより、水を得た魚のようにリードギター顔負けの派手なプレイを披露しています。
それに負けじとTony Iommiのギタープレイも元気いっぱいです。
ワウを使った渋いフレーズから、サビでの歌との掛け合い的な派手なフレーズまで、心からプレイを楽しんでいるのがよく伝わってきます。
常にクールなリーダーに徹している彼の意外な一面を見られるのではないでしょうか?
もちろん、Ronnie James Dioは今回も絶好調。
元々、ロックンロールを歌っていたシンガーだけあってこういうノリの楽曲にもすんなりと馴染んでくれています。
比較的地味な作品の中でも、ファンたちにはしっかりとアピールしています。
この雰囲気が後にRonnie James Dioのソロデビューへと繋がるので、極めて重要な楽曲です。
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