ディーモン / 悪魔主義 (1983)
1979年にイングランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
1983年に発表された3枚目のアルバム[The Plague]の1曲目に収録されています。
デビュー当時はNWOBHMのブームに乗ってヘヴィメタルバンドのカテゴリに無理矢理入れられていたのですが、蓋を開けてみれば非常にメロディアスで品行方正なブリティッシュロックをプレイするギャップで人気を得ました。
そして、熱心なファンの間では最高傑作と言われることも多い作品の中でも、特に人気の高いタイトルトラックがこちら!
シンセが主体のソフトで爽やかなロックナンバーに仕上がっており、遂にヘヴィメタルから訣別しました。
ただ、ソフトになった言っても激しいディストーションの効いたギターサウンドが無くなっただけのお話。
Mal Spoonerは、シンセに負けじとクリーンで伸びやかな七色のギタープレイを表情豊かに聴かせてくれます。
ナヨナヨした雰囲気は一切感じさせず、アップテンポな曲調でも引きずるようなリズムのパートでも、大音量のドラムサウンドが存在感を示しています。
気品すら感じさせる音作りは、ブリティッシュロックの美学を余すところなくアピールしています。
どことなく、Asiaに代表されるようなプログレッシヴロックを下地にしたポップロックにも似た雰囲気も感じられます。
綿密に作り込まれ、華麗な変化を楽しませてくれる曲展開は、6分以上の超尺を飽きずに聴かせる大切な要素です。
バンドの中心人物であるDavi Hillの感情表現豊かなドラマチックな歌唱も、ハードな曲よりこういった雰囲気の楽曲の方が上手くマッチしているように感じられます。
ただ、美しく洗練された中にもどこか不気味な陰が感じられるのも事実。
これはバンド名がDemonであること、加えて汚職や戦争などの人類が抱える問題をタイトルの「伝染病」に例えた風刺的な内容であることに関係しています。
バンドはこの後、メンバーの死やセールス面での失敗などで非常に苦しい局面に立たされることになりますが、この曲で絶対に離れることないファンを多数獲得できたことは紛れもない事実。
ヘヴィメタルの枠を超えて、壮大なプログレッシヴハードロックへと変貌を遂げたDemonの代表曲です。
時代を超えた名曲!
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