エーシー・ディーシー / 悪魔の氷 (2008)
1973年にオーストラリアで結成されたハードロックバンド。
2008年に発表された14枚目のアルバム[Black Ice]の15曲目に収録されています。
デビュー以来シンプルで骨太なハードロックサウンドを貫き、世界中で絶大な人気を誇るバンドです。
2000年に[Stiff Upper Lip]をリリースした後、ロックの殿堂入りを果たしたバンドは2003年に行われたMolson Canadian Rocks for Torontoのステージで50万人の前で演奏を披露します。
しかし、Cliff Williamsが怪我を負ったりElektra RecordsからSony Music Entertainmentへの移籍を行ったりでバンドの活動は一旦ストップ。
じっくりと休養を取ってリフレッシュした上で2008年初頭にようやく重い腰を上げて[Bryan Adams]が所有するカナダのThe Warehouse Studioにてレコーディングを開始します。
初期作品への原点回帰を狙ってライブレコーディングによる生々しいサウンドとなった前作から8年ぶりの本作は、世界29カ国のアルバムチャートで1位を記録。
バンドの代表作となった名盤から、ラストを飾るヘヴィなタイトルトラックがこちらです。
たった1つのギターリフで曲を作り上げてしまうお決まりのスタイルがここでも貫かれています。
ザクザクとした切れ味の鋭いリフは、割れた氷で作った黒いナイフで切り裂かれるような質感。
氷で出来た黒いナイフで傷口をグリグリえぐるような感触です。
ヘヴィなリズムに合わせて刻みまくる様は、ある意味で音の暴力です。
隙間だらけのスッカスカの音から、ここまで迫力のプレイを聞かせることができるのは特別な才能です。
素晴らしいのは、Phil Ruddのドラムもです。
大きく上に放り投げた鉄球が勢いよく落ちてくるかのような振り幅の大きいリズムです。
バスドラムの「ドン!」で空高く鉄球が舞い上がり、スネアの上に「バン!」
ひたすらこの繰り返しです。
激しいドラムを叩けるドラマーは星の数ほどいますが、こんなに重いビートを叩けるドラマーは滅多にいません。
そして、なんとこの曲でフィルインを叩いてます!
フィルって名前のくせにフィルインを全く叩かないドラマーで有名な彼がですよ?
ブリッジの部分でキメがあるのですが、そこでスネアのダブルストロークなんかを使ったおしゃれなフィルインを
叩いてしまっているではありませんか?
普段聴くことのできない意外な一面を見ることができます。
一時期、マンネリ化していたバンドが一気に若返ることのできた会心の一作です。
そしてリーダーのMalcolm Youngが生前最後に参加したフルアルバムでもあります。
ロック界最強のリフメーカーよ永遠なれ!
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