【曲紹介】Arch Enemy / Nemesis

アーチ・エネミー / ネメシス (2005)

1996年にスウェーデンで結成されたメロディックデスメタルバンド。
2005年に発表された6枚目のアルバム[Doomsday Machine]の3曲目に収録されています。

メロディックデスメタルを代表する人気バンドで、叙情的な泣きのギターを全面に出したサウンドが特徴です。
結成後しばらくは日本でのみ知られているバンドでしたが、2000年の終わりに当時はまだ珍しかったデスボイスを使う女性シンガーのAngel Gossowが加入してからはワールドワイドな人気を獲得します。
前作の[Anthems of Rebellion]ではメロディを若干抑えたシンプルな楽曲を多く含み、遂には母国スウェーデンの音楽チャートにも60位ながらランクイン。
商業的成功を狙ったバンドは、よりアメリカのトレンドに寄ったダークでヘヴィな本作を作り上げました。
レコーディング終了間際にChristopher Amott(Gt)が脱退するトラブルに見舞われますが、遂にはビルボードチャートでも82位に食い込む成功を収めました。
その中から、アルバムの中では異色の叙情的なメロディが満載のバンドの代表曲がこちらです。

オーソドックスな北欧メロディックデスメタルとしてのカラーは薄れ、メタルコアの要素が大幅に増えました。
元々は彼らをはじめ同郷の[At The Gates]や[In Flames]などに影響を受けたアメリカのバンド達がムーブメントを作ったジャンルなので、逆輸入といったところでしょうか。
ブルータルな高速リフワークやそこにユニゾンするツインバスの連打は非常にシャープな音作りと相まってスタイリッシュに感じます。

加入後3作目のレコーディングとなるAngela Gossowのヴォーカルワークにも目覚ましい成長が感じられます。
前作まで見受けられた高音のスクリームの部分で声質が薄くなる弱点が解消され、低音を効かせた迫力のある咆哮を聴かせてくれます。
全体的な音作りがヘヴィになったので、相乗効果でバンド全体の音圧アップにもつながっています。

この曲の最大の聴きどころは、なんと言ってもサビのバックで奏でられるリードギターによる泣きのフレーズです。
これまでのバンドの楽曲全てと比較してもトップクラスに抒情的で、まるでUli John Rothが乗り移ったかと思わせます。
ワウを使った甘く囁くようなトーンは、リスナーの脳髄すら溶かす破壊力です。

美しいメロディラインと団結をテーマにした熱い咆哮は、まるで民衆を煽動するシュプレヒコールのように胸を熱くさせます。
事実、ライブではオーディエンスが声を張り上げて大合唱が巻き起こります。
特にラストにかけてリズムセクションが消えるパートでの盛り上がりは凄まじいものです。
それまで延々と繰り返し流れ続けていたメロディラインが、最後の最後で変化するアレンジもカタルシスを感じました。

様々な要素が重なり、ワールドワイドな人気を得ることになるきっかけとなりました。
日本でのみ知られていた数年前と比べると考えられないほどの飛躍です。
まさに北欧のメロディックなエクストリームメタルを代表する名曲です。

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