マリス / ヘルライダー (1985)
1981年にアメリカのオレゴン州で結成されたヘヴィメタルバンド。
1985年に発表されたデビューアルバム[In the Beginning…]の7曲目に収録されています。
アメリカのバンドながらJudas Priest直系の無骨なブリティッシュメタルのスタイルを頑なに貫き、シンガーの技量とバックの演奏力共に圧倒的な存在感を示していたバンドです。
結成後間も無く活動拠点をロサンゼルスに移し、MetallicaやRatt、Armored Saint等と共に地道な活動を続けたことによりその実力が認められ、メジャーレーベルの最大手であるAtlantic Recordsと契約。
超売れっ子プロデューサーであるMichael Wagenerとタッグを組んで発表されたデビューアルバムの中でも、特にパワーに満ち溢れているスピードナンバーがこちらです!
とにかくシンプルで無駄を削いだアレンジは、まさしく無骨なヘヴィメタルの代名詞と言っていいほど。
Judas Priestからの影響を隠そうともしない潔さも感じます。
ギターリフは[Rapid Fire]から、サビのタイトル連呼は[Exciter]から影響を受けています。
そこはかとなく漂うブリティッシュメタルの空気は、同時期に活動していた煌びやかなグラムメタルバンド達とは明らかに一線を画すものとなっています。
ただ、アメリカのバンドとしてのポテンシャルもしっかりと持ち合わせているところが好感が持てます。
ブリティッシュメタルとしての繊細さの中にも、アメリカンメタルとしてのゴツゴツとした力強さが感じられ、そこがバンドの強烈な個性として活きています。
度肝を抜かれるのが、シンガーであるJames NealのRob Halfordに肉薄する圧倒的な歌唱です。
パワフルな中音域から、どこまでも伸びるハイトーンまで自在に使いこなす表現力は、当時の界隈では間違いなくトップクラスの実力者です。
曲のラストで繰り出されるシャウトの連発は、そのポテンシャルが遺憾なく発揮されており、間違いなくこの曲のハイライトでしょう。
正統派ヘヴィメタルでありながら、歌を聴かせることに最も比重を置きながらも、パワーを全く損ねていない奇跡のバランスです。
短い活動期間でしたが、アメリカンメタルの歴史に間違いなく大きな楔を打ち込んだ名曲です。
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