ミューズ / シティ・オブ・デリュージョン (2006)
1994年にイングランドで結成されたオルタナティブロックバンド。
2006年に発表された4枚目のアルバム[Black Holes and Revelations]の9曲目に収録されています。
1999年に[Showbiz]でアルバムデビューを果たすと同時に世界的な注目を浴び、前作の[Absolution]は遂に全英チャート1位を獲得。
世界最大の野外フェスであるGlastonbury Festivalではヘッドライナーに抜擢されたことを皮切りに、大規模なワールドツアーへと繰り出します。
世界中のファンにその存在感を見せつけ、MTVは彼らに「ベスト・ライブ・アクト」の賞を付与。
この成功を足がかりにレーベルから十分な予算と納期を与えられ、リラックスしたムードでセルフプロデュースのアルバムをレコーディングします。
完成したアルバムは、バンド自らが研究した最新のテクノロジーから実験的要素を含む意欲的な作風でしたが、多くのファンがこの変化を好意的に受け入れました。
前作に続いて全英1位に輝いたバンドの代表作から、フラメンコのリズムを取り入れたナンバーがこちらです。
これまでの彼らは、ルーツとなる音楽ジャンルを貪欲に吸収して独自の発展を遂げてきました。
ヘヴィメタル、オルタナティブロック、プログレッシブロック、様々なスタイルが溶け込んだバラエティの豊かな楽曲が魅力でしたが、ここにきて大きなチャレンジに踏み切りました。
当時Matt Bellamy(Vo/Gt)の夢中になっていたフラメンコを大々的に取り入れています。
暗く怪しい情熱のフラメンコギターの刻みに乗せて歌うMatthewは、まるで呪術を唱えているかのよう。
[Radiohead]のThom Yorkeからの影響を隠そうともしない独特のファルセットボイスは、どんなアレンジだろうとバンドの個性を決定づける宝物のようなもの。
彼の母方は霊媒師の家系であり、本人には悪影響を危惧して伏せていたらしいのですが、知らず知らずのうちに憑依をしていたと言われても信じてしまうほどの説得力です。
エスニックな雰囲気の中でも、トライバルなリズムやディストーションを深くかけたギターによるヘヴィなアレンジは健在。
そこにストリングスやトランペットのフレーズが混ざるので、実にカラフルな印象を受けるアレンジです。
ですが、主催はバンドサウンドであり、他の要素はあくまでも副菜です。
ここをうまいバランスで混ぜ合わせているので、散漫な印象は全くありません。
事実、3ピースでの演奏だけでも楽曲が成り立つほど綿密なアレンジが施されています。
ただ、それだけだと地味になってしまうので、多種多様な楽器を味付けとして振りかけているだけです。
この匙加減も間違えると大きな事故につながりかねません。
バンドのセンスが問われる部分でしょう。
アルバムの後半に収録され、シングルカットもされていないので話題になることは多くありません。
ですが、この後に待ち構えている名曲たちへの繋ぎとしてギラリと光る名曲です。


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