マインドレス・シナー / キー・オブ・フォーチュン (1984)
1981年にスウェーデンで結成されたヘヴィメタルバンド。
1984年に発表された1枚目のEP[Master of Evil]の2曲目に収録されています。
北欧メタル創世記のバンドとしてマニアに知られているバンドです。
同じLinköping出身の[Axewitch]と共にアンダーグランドなシーンで地道な活動をしていました。
結成からしばらくはメンバーチェンジに悩まされ、[220 Volt]や[Force]がレコード契約を獲得するのを傍目で見ながら悔しい思いをしていました。
ですが、1983年のバンドコンテストで見事に優勝し、その賞金を使って自主制作ながらも念願の4曲入りEPをレコーディングします。
[Axewitch]や[Gotham City]も所属する地元のFinger Print Recordsと契約をしてリリースした本作は、ダークで湿ったメロディアスなサウンドがカルトな名作として多くのマニアを虜にしました。
その中から、バンドの代表曲として人気が高いアップテンポのナンバーがこちらです。
スピード感のあるビートながらも全体的に陰鬱としたムードが漂い、良い意味でアンダーグラウンドなサウンドです。
特にイントロのメロディアスなギターリフからは哀愁とはまた違った独特な重苦しさが感じられました。
予算をかけたレコーディングではサウンドがクリアになってしまい、この雰囲気を出すことは困難です。
自主制作で限られた予算の中でレコーディングを行ったことが逆に雰囲気作りにおいてプラスに働く結果となりました。
当時の北欧のアンダーグラウンドシーンは、別格の歌唱力を持つGöran Edmanは例外としてシンガーの実力不足が顕著でした。
彼らにおいても御多分に洩れず、Christer Göransson(Vo)はリズムも音程も不安定で発展途上です。
ですが彼の持つ鼻にかかったような甘い声は個性的であり、慣れない英語を懸命にで歌う姿が目に浮かんで来て微笑ましい気持ちになれます。
この曲のハイライトになっているのが、短いながらもメロディアスで個性的なギターソロ。
少し調子っぱずれに聞こえるのですが、この曲の持つダークな音像に見事にハマって怪しさ満点の名演となっています。
どこまでも真っ直ぐなヘヴィメタルへの情熱がひしひしと伝わってきます。
この時期の彼らの持っている世界観は、後にゴシックメタルやドゥームメタルに与えた影響も少なくないでしょう。
地下室で儀式を執り行っているようなキナ臭さが曲全体から感じられます。
アンダーグランドな初期北欧メタルを語る上で、決して外すことのできない名曲です。
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