ジャイアント / ビリーヴァー(リダックス)(2010)
1987年にアメリカのテネシー州で結成されたロックバンド。
2010年に発表された4枚目のアルバム[Promise Land]の1曲目に収録されています。
80年代はヒット曲の殆どにプロデューサーかギタリストでクレジットされていたDan Huff。
そして[Tony Williams Lifetime]への参加を皮切りに、Jazz/FusionやAORのシーンで活躍したセッションキーボーディストのAlan Pasqua。
彼ら二人が中心になり結成されました。
商業的は成功しながらも、トレンドの変化とDan Huffのプロデューサー業が多忙を極めた為、バンドは自然消滅するかのようにシーンから姿を消しました。
しかし、Dan Huffの実弟であるドラマーのDavid Huffを中心に復活を遂げ、往年の輝きを取り戻した力作を送り届けてくれます。
そのトップを飾る爽やかなアップテンポのナンバーががこちらです。
Dan Huffはプロデューサー業が多忙の為にシンガーとしては参加しておらず、一部の楽曲の作曲とギターソロに関わるのみです。
シンガーには[Strange Ways]やソロ活動で実績のあるTerry Brockが、ギターには[Winger]のJohn Rothが加入を果たしました。
10年ぶりの新作で、更に大幅なメンバーチェンジによってバンド内が心機一転できたのか、非常にストレートで爽やかな迷いのないメロディックロックサウンドに溢れており、別のバンドかと驚かされます。
デビュー当時からベテランの風格を感じさせるサウンドが売りのバンドが、20年の時を経て大幅に若返りました。
バンドに新しい風を呼び込んだ要因には、外部から招かれたソングライター達も関係しています。
なんとEclipseやW.E.Tなどの北欧メロディアスロック界隈でで大活躍中のErik Martensso、Miqael Persson、Robert Sällの3人が作曲スタッフとしてクレジットされています。
このおかげで、能天気なアメリカンロックの色はあまり感じられず、初期[Alien]のような、ほのかに哀愁を感じさせる清涼感が絶妙なバランスで混ざり合っています。
この要素は、Erik Martenssoの貢献が非常に多いと感じています。
Eclipseではリードシンガーとしても大活躍している彼は、この曲ではバックコーラスばかりかメロディラインの作成と歌い回しのディレクションまで全てを執り行っています。
それを歌うのが、Terry Brockです。
80年代にはマネジメントのトラブルで加入を見送ったものの、[Deep Purple]の正式メンバーとして抜擢された実力の持ち主です。
[Journey]のSteeve Perryを彷彿とさせるハスキーな歌声は楽曲の持つ雰囲気との相性が抜群で、まさにベストな人選と言えるでしょう。
従来のGiantのようなアダルトな歌声にハードなギターの乗るサウンドを期待したリスナーは、肩透かしを食らうかもしれません。
ですが、新旧多国籍の敏腕ミュージシャンが入り混じって渾身の力で送り出したメロディックロックは、新たなファン層にアピールできるポテンシャルを持ち合わせています。
アメリカとスウェーデンが手を組んで送り出す、多国籍メロディアスハードロックの名曲です。
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