220ボルト / 戦慄のタワー (1985)
1979年にスウェーデンで結成されたヘヴィメタルバンド。
1985年に発表された3枚目のアルバム[Mind Over Muscle]の1曲目に収録されています。
スウェディッシュメタルシーンの初期から活動しているバンドです。
メジャーレーベルのCBSからデビューを果たし、青臭いながらもブリティッシュメタルからの影響の強いサウンドがマニアの支持を得ました。
若くしてデビューした為に発展途上だった演奏能力も徐々に改善され、遂にはバンドが大きく飛躍するきっかけともなった名盤が本作です。
その中から、アルバムのオープニングを飾るスピードナンバーがこちらです。
激しいツインバスの連打に乗せてザクザクと刻まれるギターリフを聴けば、これまでの作品を聴いていたリスナーならば化けたと確信するでしょう。
音質、演奏力共に格段な飛躍を遂げてようやくメジャーバンドの仲間入りをしました。
サビでのオリエンタルな中東系の旋律が楽曲のフックとなっています。
[Rainbow]の[Staegazer]や[Gates Of Babylon]にも登場するお馴染のものなので、影響が感じられます。
ミステリアスな雰囲気がうまく演出されており、これまで発表した楽曲との差別化ができました。
演奏力も飛躍的に向上しています。
特に、目立つのがリズムをグイグイと前に引っ張っるベーシスト。
バストラムの連打と一体になってマシンガンのように繰り出されるフレーズは、アンサンブルに鉄壁の安定感をもたらします。
ギターの2人も自己主張は弱まったとはいえ、ソロでは北欧のバンドらしい流麗なハーモニーを奏でています。
突出して目立つのでは無く、全体のバランスを考えて押しと引きメリハリを考えたアレンジができるようになったのは成長の証です。
この曲をきっかけに、バンドは本国スウェーデン意外でも認知され始めました。
同時期にデビューをした[Europe]が日本で話題になり、スカンジナビア半島のヘヴィメタルバンドは北欧メタルとしてメディアに取り上げられます。
彼らのサウンドは日本の多くのリスナーのイメージする美旋律をメインとしたものではありませんが、アメリカやイギリスのバンドとは違う若さ溢れる直向きさを感じました。
この後、バンドは念願の全米デビューを狙ってハードポップへと方向転換をします。
その布石となった会心の一撃とも言える名曲です。
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