【曲紹介】Muse / City Of Delusion

ミューズ / シティ・オブ・デリュージョン (2006)

1994年にイングランドで結成されたオルタナティブロックバンド。
2006年に発表された4枚目のアルバム[Black Holes and Revelations]の9曲目に収録されています。

前作の[Absolution]が全英チャート1位を獲得し、Glastonbury Festivalのヘッドライナーを務めたことを皮切りに大規模な世界ツアーへと繰り出します。
世界中のファンにその存在感を見せつけ、人気が最高潮まで達した状態でリリースされた本作は、セルフプロデュースの強みを活かしてバンド自らが最新のテクノロジーを駆使して様々な実験的要素を含んだ意欲的な作風でした。
前作に続いて全英1位に輝いたバンドの代表作となった本作から、オリエンタルな怪しい雰囲気の漂うヘヴィナンバーがこちらです。

これまでの作品ではヘヴィメタルとオルタナティブロックにプログレッシブロックの要素を融合した独自のジャンルを貫いていましたが、ここにきて更に音楽性の幅を広げてきました。
アコースティックギターやトランペット等の楽器を取り入れ、ラテン音楽と中東音楽をミックスしたなんとも不思議な感覚です。

その上にストリングスや、ダンサブルなシンセサウンド、そしてディストーションギターまで織り交ぜた
ストリングスのアレンジは当然のこと、デジタルなシンセやディストーションの効いたギターまで、色とりどりの楽器が入り乱れて非常にカラフルです。

これだけ無節操にやっておきながら、一度聞いただけでMuseだとわかる要因は、他でもないMatthew Bellamyの声のおかげです。
[Radiohead]のThom Yorkeからの影響を隠そうともしない独特のファルセットボイスは、この曲ではまるで呪術を唱えているかのような雰囲気が漂っています。
母方が霊媒師の家系であり、Matthewへの悪影響を危惧してそのことは幼少期以降は伏せていたそうですが、もしかしたら無意識に影響を受けていたのかもしれません。

しっかりとバンドの核を持った上で様々なエッセンスを取り入れることによって、全てが違和感なく交わる良い例です。
ここを逆に捉えるとエッセンスにバンドが取り込まれてしまい、全てが中途半端になってしまいます。
色々やっているけれども、何がやりたいのか全く伝わらない楽曲がいい例です。

バンドとしての強固な芯を持ち、スリーピースのアンサンブルだけで楽曲を成り立たせるだけの力量があり、その上でのオプションとして実験的な要素も取り入れる。
これがまさに理想的なバランスの元に成り立っている名曲です。

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