【曲紹介】Lost Horizon / Pure

ロスト・ホライズン / ピュア (2003)

1999年にスウェーデンで結成されたパワーメタルバンド。
2003年に発表された2枚目のアルバム[A Flame to the Ground Beneath]の2曲目に収録されています。

Daniel Heimanの卓越した歌唱力とドラマチックなパワーメタルサウンドで人気を博したバンドです。
多くのメロディックメタルファン達に衝撃を与えた[Awakening the World]は、ドラマティックなパワーメタルにおける奇跡の名盤として語り継がれる作品となりました。
そこから2年、新たにFredrik Olsson(Gt)とAttila Publik(Key)を迎え入れて6人編成のバンドとして生まれ変わります。
メンバーを新たにリリースした本作は、ドラマチックな部分をより強調した大作志向の名盤として前作とは違ったファン層からの支持を得ます。
その中から、アルバムのトップを飾るプログレッシブなパワーメタルナンバーがこちらです。

ファンタジックなコスチュームに身を包んだメンバーショットを見てコミックバンドと勘違いするリスナーもいると思いますが、本人達は至って大真面目。
ヒロイックで哀愁に溢れたギターのメロディと煌びやかなシンセが鳴り響く重厚なメタルサウンドに仕上がっています。
強烈なスネアの連打から始まるオープニングは前作に収録されていた[Heart of Storm]を踏襲しているかと思いきや、ヴォーカルが入った途端にスローテンポにリズムチェンジをする展開からは方向性の変化が如実に現れています。

プログレッシブメタルの要素が増えましたが、メロディの充実度は後退するばかりか益々冴えを見せているように感じました。
抒情的なギターフレーズの数々はコスチュームの通りヒロイックな感情を掻き立てますし、ある時には強烈な泣きを感じさせてくれます。
楽曲のタイトルの通り、ピュアなヘヴィメタルへの愛情がひしひしと伝わってきます。

キーボードが正式メンバーとして加入したことで、前編に渡ってシンセサウンドが主張をしているとこともポイントです。
前作ではサポートメンバーとしての立ち位置だった関係で味付け程度の存在でしたが、今回からは楽曲に彩りを与える重要な役割を果たしています。
煌びやかで透明感のある音色がジャケットのような宇宙を感じさせる雰囲気を演出していて、まさに絶妙なアレンジとなっています。

超人と呼ばれたDaniel Heiman(Vo)も前作と変わらず絶好調。
[Manowar]のEric Adamsに大きな影響を受けた勇ましい歌い回しに、非常にレンジのハイトーンのシャウトを飛び道具のように自由自在に操ります。
難しいメロディラインを難なく歌いこなすその実力は、そこらのメタルシンガーと比較しても頭ふたつほど飛び抜けています。
後にセッションシンガーとして活躍するとからも、業界でも別格の存在だったのでしょう。

残念ながら本作をもってメンバー間の音楽性の違いによりバンドは崩壊してしまいますが、遺した作品は永遠です。
その中でも一際光を放つドラマチックなメロディックメタルの名曲です。

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