【曲紹介】Siam Shade / 1/3の純情な感情

シャム・シェイド/ 1/3の純情な感情 (1998)

1989年に東京都世田谷区で結成されたロックバンド。
1998年に発表された[SIAM SHADE IV・Zero]の3曲目に収録されています。

アマチュア時代はヴィジュアル系として派手なメイクでの活動をしていましたが、[Rush]や[Dream Theater]等からの影響を受けた卓越したテクニックが人気を博しました。
1995年のメジャーデビュー以降は派手なメイクは封印し、ストレートなロックサウンドを前面に押し出します。
しかし、セールス面で苦戦を強いられた活動が続き、バンド存続の危機にまで陥りました。
そんな時にアニメ化された人気コミック[るろうに剣心]のエンディングテーマに楽曲が起用され、人気が爆発。
それによって、バンドの代名詞となったナンバーがこちらです。

元々はお蔵入りとなっていたミドルテンポの地味な楽曲でした。
それをプロデューサーとして招かれたBeingから独立したばかりの明石昌夫が掘り起こして完成させました。

その結果、シンセを中心としたスピード感のあるロックナンバーに仕上がりました。
かつては[B’z]、[BAAD]、[T-BOLAN]、[ZARD]、[WANDS]など一斉を風靡したグループ達をヒットに導いた立役者です。
時代のトレンドを嗅ぎつけ、商業的な成功を狙ったアレンジです。

ただ、バンド側は仕上がりに納得できず、一度はリリースを拒否します。
一度はお蔵入りにした経緯がありますし、仕上がりはバンドが望んだものとはかけ離れていたからです。
シンガーの栄喜は[Skid Row]のSebastian Bachを敬愛する生粋のハードロッカーであり、他のメンバーも全員がテクニカルなプレイに傾倒しています。

ですが、ここはビジネスと割り切って身を任せました。
デビューから3年もセールスが低迷しており、バンドの存続すら危うい状況です。
これは賭けだとばかりに、明石昌夫の実績を信じて身を任せます。
その結果、空前絶後の大ヒットとなって危機を脱出できました。
こだわりを捨て、世間のニーズに応える責任を果たしたのです。

間奏部分で聴ける変拍子は、自分たちのルーツへのリスペクト。
そして、バンドとしての拘りを見せつける、ささやかな悪足掻きかもしれません。

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