【曲紹介】Jeff Beck / Led Boots

ジェフ・ベック / レッド・ブーツ (1976)

1962年から活動を始めたイングランド出身のギタリスト。
1976年に発表された2枚のソロアルバム[Wired]の1曲目に収録されています。

卓越したテクニックと常識を覆す斬新なプレイの数々で、生涯にわたって孤高の存在として君臨していたスーパーギタリストです。
1965年に[Yardbirds]の一員として一躍有名になり、自身のバンド[Jeff Beck Group]やハードロックトリオ[Beck, Bogert & Appice]の活動で世界中のファンを熱狂させました。
1975年にはより自由な表現を求めてソロプレイヤーとしての活動を開始。
[The Beatles]のプロデューサーを務めたGeorge Martinとタッグを組み、インストゥルメンタル中心のJazz/Fusionへと音楽性を変化させました。
よりテクニカルなプレイを全面に押し出したソロデビュー作の[Blow By Blow]はBillboardチャートで4位の大ヒットを記録。
路線変更は大成功を収めた為、自身の持ち味のハードなプレイを全面に押し出した本作を発表。
自身の代表作となったばかりか、ギターインストアルバムの定番とも言える金字塔と呼ばれて末長く愛される名盤となりました。
その中から、ライブでは必ず演奏されてきたハードなナンバーがこちらです。

スリリングで複雑怪奇なリズムを土台に、終始ハイテンションなアンサンブルが火花を散らします。
ドラムソロがひたすら続く展開に、多くのリスナーは度肝を抜かれるでしょう。
[Mahavishnu Orchestra]で卓越したテクニックを披露していたNarada Michael Walden(Dr)の叩き出す強烈なリズムは、圧倒的な手数とスピード感です。
彼の存在感のあるドラム無しににこの曲は語れません。

Jeff Beckのギターもそれに触発されたのか、活き活きと大暴れをしています。
本作を発表する直前に[Stanley Clarke]のソロアルバムへゲスト参加した影響なのでしょうか。
当時は32歳でベテランに足を踏み入れる年齢ですが、感情に任せてダイナミックなフレーズを連発するプレイからはそれを全く感じさせません。
78歳で亡くなるまで”永遠のギター小僧”と長年ファンから親しまれてきたのも頷けます。

そのプレイに乗ってJan Hammer(Key)も負けじと宇宙的なサウンドのソロで激しいバトルを繰り広げます。
シンセサイザーをまるでギターのように操るプレイは、後のヘヴィメタルキーボーディストに大きな影響を与えました。
まるでギタリストが2人いるようなスリリングなソロの応酬は、手に汗握る興奮が味わえます。

7/8拍子に移行したパートではビートが裏返るような錯覚に陥り、アンサンブルが崩壊するギリギリで踏みとどまる駆け引きが楽しめます。
お互い顔を見合わせてのライブレコーディングが行われているようで、汗をまき散らした白熱のセッションが目に浮かびます。
ここまでテンションの高いインストナンバーとは滅多に出会えないでしょう。

Jazz/Fusionにハードなロックギターを導入したパイオニアとも言えるでしょう。
これからもスタンダードとして永遠に愛され続けるであろう名曲です。

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