アル・グリーン/ レッツ・ステイ・トゥゲザー (1972)
1967年からソロ活動をしているアーカンソー州出身のシンガーソングライター。
1972年に発表された4枚目のアルバム[Lets Stay Together]の1曲目に収録されています。
甘く囁きかける優しい歌声が多くのファンを獲得し、ソウルミュージックを代表する存在となった偉大なシンガーです。
ソロデビュー当時の知名度は今ひとつでしたが、1971年初頭に発表したシングル[Tired of Being Alone]がBillboardのR&Bチャートで7位を記録。
これによって一躍人気シンガーの仲間入りを果たしました。
同年の暮れにはニューシングルの[Lets Stay Together]をリリースし、なんとBillboardのR&Bチャートで念願の1位を獲得します。
Willie Mitchellをプロデューサーに人気セッションドラマーのAl Jackson Jr.と共作をした本曲をタイトルトラックとして発表した同名アルバムも、同じく9週連続1位を記録するなど空前絶後の大ヒット。
ソウルミュージックの名盤を紹介する際には必ずと言っていいほど取り上げられる名盤となりました。
その中から、時代を超えて愛されるスタンダードとなったナンバーがこちらです。
カーテンの隙間から差し込む朝日のようなホーンセクションから始まるこの曲は、ラブソングの王道となりました。
甘く囁きかけるAl Greenの優しい歌声は、これまでの感情を爆発させるソウルミュージックの歌唱法とは一線を画すものです。
まるでリスナーを包み込むような新しい感覚は、彼独自のスタイルとして個性を確立させる結果となりました。
Willie Mitchellのアイデアというのですから、その手腕には脱帽です。
バックのアンサンブルも見事です。
ロマンチックなトーンで小鳥の囀りのように歌に寄り添うエレキギター
ボトムという表現がこれ以上なく適切に当てはまっているベース
シンプルなパターンで力強くリズムを前に押し出すエンジンのようなドラム
要所で顔を出し、楽曲に彩りを与えるブラスセクションと女性コーラス
どれをとっても過不足のない完璧なアレンジです。
出来上がったデモ音源を聴いてたったの15分で書き上げたという逸話のある、誠実に永遠の愛を誓う歌詞も話題となりました。
どこまでもピュアで、楽曲のムードに見事に当てはまった内容は日本でも結婚式での定番ソングとして親しまれています。
ソウルミュージックの既成概念を外し、チャレンジ精神に溢れた手法によって70年代を代表するヒットシングルが生まれました。
これから先も、歴史を超えたスタンダードナンバーとして愛されるであろう名曲です。
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