【曲紹介】Overkill / Armorist

オーヴァーキル / アーモリスト (2014)

1982年にアメリカのニュージャージー州で結成されたスラッシュメタルバンド。
2014年に発表された17枚目のアルバム[White Devil Armory]の1曲目に収録されています。

アメリカ東海岸のスラッシュメタルシーンにおいて代表格として君臨するベテランバンドです。
時代に合わせてトレンドを程良く取り入れながらも、根底にある音楽スタイルはしっかり保つ姿勢がファン達の心を掴んで熱い支持を得ています。
セールス面での浮き沈みはあったものの、前作の[The Electric Age]はBillboardチャートで77位にランクインをして最大の売り上げを記録。
結成30年目にして遂に全盛期を迎えます。
アルバム発表後のツアー中にBobby “Blitz” Ellsworth(Vo)が急病で倒れるアクシデントがありましたが、幸いにも大事には至らずにツアーをキャンセルして休養を取ります。
彼の体調が完全に回復をしたのを確認し、ツアーが中止になった鬱憤を晴らすべく新作のレコーディングに入りました。
休養をとって心身ともにリフレッシュした状態で製作された本作は、なんと前作を上回るBillboardチャート31位を記録。
メディアからも大絶賛を持って迎えられ、2010年の[Ironbound]から3作連続でバンドの代表作となる名盤が生まれました。
その中から、オープニングを飾るハイテンションなタイトルトラックがこちらです。

ツインバスの高速連打で勢いよくスタートする展開は、前のめりなリズムで全力疾走する彼らのトレードマークを見事に踏襲しています。
切れ味の鋭いカミソリのようなギターサウンドと、バキバキと鳴らされる硬質なベースサウンドも強力無比。
このリズムとサウンドが織りなすアンサンブルがヘッドバンギングを誘発し、スポーツの後にも似た爽快感あふれる感覚を感じさせます。

このようなサウンドメイキングは時に冷たく無機質な印象を与えることもあるのですが、Bobby “Blitz” Ellsworth(Vo)荒々しいパフォーマンスのおかげでそんな印象は微塵にも感じません。
いかにも腕っ節の強そうなルックス通りの強力な濁声で喚き散らし、時には空を切り裂くシャウトを響かせるスタイルは若々しさに溢れています。
レコーディング時点で50代も半ばであり、更に何度か病に倒れている体だという事実は俄かに信じられません。
彼の存在こそバンドに必要欠くべからざるものだと改めて実感しました。

巧みなリズムチェンジを駆使してリスナーを飽きさせない工夫も見事です。
特にギターソロ前でハードコア風のパートを一旦挟み、間髪入れずにシームレスで元のテンポに戻ってギターソロに突入する展開には興奮します。
ブレイクを挟まず一気に加速するリズムの体感速度は相当なもので、しっかりと計算して構築したアレンジからは知性を感じます。
長い活動の中で数えきれない曲数をレコーディングしてきた彼ら。
ベテランの底力を見せつけてくれました。

古くから応援しているファンたちが求める要素が集約されたかのような充実した内容です。
いつまでもエネルギーに満ち溢れたパフォーマンスをしていく意思表明をしているかのような名曲です。

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