【曲紹介】Winger / Pull Me Under

ウインガー / プル・ミー・アンダー (2009)

1987年にニューヨークで結成されたハードロックバンド。
2009年に発表された5枚目のアルバム[Karma]5曲目に収録されています。

卓越したテクニックを持ったメンバー達がキャッチーなグラムメタルを演奏するユニークな発想が話題となり、全米チャートを賑わせたバンドです。
音楽シーンが1994年に一度解散をしますが、2001年にオリジナルメンバーにKip Winger(Vo/Ba)のソロで活動を共にしていたJohn Roth(Gt)を加えて再結成。
Paul Taylor(Key)が一時離脱しますが、イタリアのFrontiers Recordsと契約を結んで2005年に復活作の[IV]をリリースをします。
ダークでメランコリックな作風が多くの新しいファンの獲得に繋がり、そのファンたちに向けて80年代のエッセンスを織り交ぜたのが本作です。
その中から、特にメタリック且つメロディアスなアップテンポのナンバーがこちらです。

攻撃的なギターリフと重量感のあるアンサンブルが非常に心地良いワイルドで骨太なハードロックサウンドです。
特に、Kip Wingerの弾くベースが地鳴りのように腹の底にギンギンと響きます。
他の音をかき消さんばかりの音圧なのですが、Rod Morgenstein(Dr)の抜けの良いドラムサウンドが絶妙なバランスで混ざり合ってメガトン級のリズムセクションとなりました。

[Dixie Dregs]ではテクニカルなフュージョンのスタイルをプレイしたと思えば、この曲ではシンプルに徹するタイトなプレイを聴かせてくれる非常に器用なドラマーです。
バンド活動に並行してバークリー音楽大学で教授を務めたりと素晴らしいオールラウンダーであり、Wingerが息の長い人気を持続できているのも彼の叩き出す全てにおいて適切なドラムプレイあってのもの。

この曲の魅力はなんと言ってもダークで閉塞感のあるパートと、開放感のあるメランコリックなサビの対比です。
特にサビでの哀愁は凄まじいもので、音の隙間が多いギターのアルペジオフレーズが始まった途端に面白いぐらいに雰囲気が変わります。
ここまでメロディアスに仕上がったのは、世界に誇るプロデューサーであり[Giant]のメンバーとしても知られるDann Huffがソングライターとして関わっているからでしょう。
おそらく、サビの部分はヒット曲の作り方を知り尽くしている専門家の彼が書いたのではないかと容易に推測できます。
曲のエンディングで飛び出すロックらしからぬ浮遊感のあるコードも彼のアイデアかもしれません。

ギターソロもツインギターの強みをこれでもかと発揮しています。
シンプルなフレーズの繰り返しの中でいつしか2本でハーモニーが完成し、そのまま別々のフレーズに分かれるタイミングが本当に見事としか言いようがありません。
インパクトの強いフレーズではありませんが、聴けば聴くほど新しい発見があります。

再結成Wingerの中でも特に人気の高いナンバーで、ライブのセットリストでも80年代のヒット曲を押し除けて登場することもあります。
年季の入ったベテランミュージシャンが気持ちを若く作り上げた名曲です。

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