【曲紹介】UFO / Let It Roll

ユー・エフ・オー / レット・イット・ロール (1975)

1969年にイングランドで結成されたハードロックバンド。
1975年に発表された4枚目のアルバム[Force It]の1曲目に収録されています。

70年代に[Michael Schenker]の泣きのギターをフィーチャーした数々の名曲で人気を博した伝説のバンドです。
彼が加入して最初の作品である前作は[Doctor Doctor]や[Rock Bottom]等のバンドの代表曲が収録されており、ファンの間で名盤として語り継がれる作品となりました。
その勢いに乗ったバンドは、ツアーの合間を縫って作曲を開始。
翌年には早くも新しい作品がレコーディングされました。
当時のバンドの状況を象徴するかのようなエネルギッシュな楽曲が多く収録された本作は、前作同様にファンの間ではバンドの代表作として挙げられることも多くあります。
その中から、アルバムのオープニングを飾るパワフルなビートと泣きのギターソロとの対比が美しいナンバーがこちらです。

3連リズムの激しいビートに合わせて一心不乱にリフを掻き鳴らすスタイルは、ブリティッシュロックの王道と言えるでしょう。
そこに乗る野生的なPhil Moggの歌の隙間を縫うように火を噴く[Michael Schenker]のフレーズは、まるで歌とギターでバトルを繰り広げているような感覚です。
オクターブの違う音を重ねたブリッジ部分のアレンジも見事。
ここまでハードロックとしての激しさを強調したアレンジは、過去の作品には無いものです。

ですが、この曲のハイライトはギターソロに尽きます。
これまでの激しさはどこへやら、バッキングがアコースティックギターに切り替わって曲調が唐突にスローバラードへと変化します。
そして、まるで演歌を聴いているかのような哀愁漂うフレーズが次から次へと繰り出されます。
ギターが泣き叫んでいるようなハイポジションのチョーキングは、どこまでも繊細でヨーロピアンな気品に満ち溢れています。
ギターソロが終わるとまた唐突に元の曲調に戻るのですが、この展開はリスナーに強烈なインパクトを与えます。

この頃は[Michael Schenker]のギターを中心に曲作りをしていたのがよくわかります。
人気が低迷していたバンドを救った救世主ですし、彼のギターを聴くためにレコードを買い求めてコンサートに足を運ぶファンも数多くありました。
そのファンの期待に応えるべく考え抜かれた秀逸なアレンジではないでしょうか。

[Arch Enemy]で活躍するMichael Amottが[Michael Schenker]のギタープレイに大きな影響を受けていると公言していますが、この曲を聴くとそれがよくわかります。
ギターソロ後半のフレーズなど、様々な場面で耳にする定番フレーズにもなっています。
後のメロディックデスメタルにまで影響を与えた歴史的名曲です。

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