シルヴァー・マウンテン / ヴァイキングス (1983)
1978年にスウェーデンで結成されたヘヴィメタルバンド。
1983年に発表された1枚目のアルバム[Shakin’ Brains]の6曲目に収録されています。
スウェーデンのヘヴィメタルシーンの創世記より活動していた歴史あるバンドです。
Jonas Hansson(Vo/Gt)を中心に結成され、70年代から自主制作でシングルをリリースしたりと精力的に活動をしていました。
当時はメンバーが非常に流動的でしたが、Per Stadin(Ba)とAnders Johansson(Dr)、そしてAndersの弟であるJens Johansson(Key)が加入したことでラインナップが固まりました。
地道な活動が身を結び、Roadrunner Recordsと契約を交わして記念すべきデビューアルバムをリリース運びとなります。
良くも悪くもマイナーな北欧メタルを象徴するような、荒削りで垢抜けない内容ながらもクラシカルなフレーズや古き良きハードロックサウンドをアグレッシヴに演奏するスタイルがマニアの間で話題となります。
その中から、特にスピーディーでアグレッシヴなナンバーがこちらです。
ドタバタと慌ただしいドラムのビートが、油断をすると今にも前につんのめって転んでしまいそうな緊張感を醸し出しています。
全体の演奏力はお世辞にも言えないのですが、勢いだけで突き進む我武者羅な疾走感は、技術が発展途上の時期だからこその貴重なテイクです。
北欧的な抒情性はほとんと感じられす、70年代のトラディショナルなブリティッシュロックを継承したギターリフには朴訥しとた雰囲気が漂います。
言葉を選ばなければ垢抜けておらず、B級サウンドを愛するマニアに向けと言えるでしょう。
Jonas Hanssonのモゴモゴと呟くような歌も、歌うのを他のメンバーがよく承諾したものだと思わせます。
それでありながら、この曲を魅力的に輝かせているのがJens Johanssonのキーボードソロです。
楽曲の後半でこれまでの雰囲気を打ち消すクラシカルな高速プレイは、一気にこちらの目を覚まさせてくれます。
メンバーの中で一人だけ飛び抜けたテクニックを持ち合わせており、このバンドがレーベルの契約を獲得できたのも彼の活躍あってのものです。
Johansson兄弟は後に[Yngwie Malmsteen]率いるRising Forceに加入して名声を手にし、作品の歴史的価値も飛躍的に上昇する結果となりました。
著名なミュージシャンが無名時代に在籍していたバンドであるだけで注目された作品も数多く有りましたが、この曲においては持ち合わせている才能が泥の中で光る宝石のように輝きを放っている好例です。
北欧メタルが世界に羽ばたいていく歴史を語る上で、極めて重要な名曲です。
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