【曲紹介】ザ・リーサルウェポンズ / きみはマザーファッカー

ザ・リーサルウェポンズ / きみはマザーファッカー (2019)

2019年に東京都中野区で結成されたロックユニット。
同年に発表された1枚目のアルバム[Back To The 80’s]の6曲目に収録されています。
80年代のSF映画から飛び出してきたような謎のアメリカ人シンガー”サイボーグ・ジョー”と、アイスホッケーのマスクを被ったオーバーオールのプロデューサー兼作曲家の”アイキッド”の2人からなるユニットです。
アイキッドが西武新宿線都立家政駅前にあるブックマートという古本屋のCMソングを依頼され、その際に近所に住んでいた友人のアメリカ人(後のサイボーグ・ジョー)に歌唱を依頼。
このことがきっかけで結成されました。
早速、アイキッドの個人レーベルから本作をサブスクリプションで配信開始。
典型的なコミックソングばかりの作品ながら、80年代のヒットソングを高いレベルでオマージュした楽曲は存在感抜群で、SNSを中心に話題となりました。
その中でもiTunesチャートロック部門1位を獲得し、ユニットの人気を決定づけた強烈な楽曲がこちらです。

英語が堪能でなくとも二度見してしまうほど強烈なタイトルです。
英語圏では最大限の侮蔑のニュアンスを含んだ人前では絶対に口にしてはいけない言葉です。
不用意に口にしようものなら、軽蔑されるか怪我を負うか、最悪の場合は命に関わる事態にまで発展します。
そんな言葉を曲のタイトルに持って来るなど、大した度胸です。

ですが、内容は至ってまともで健全です。
この世に存在する優しくないものや悪い心に対して英語におけるありとあらゆる罵詈雑言で対抗するという正義の歌です。
品行方正な内容を、あえて品性のかけらもない下劣な言葉でコーティングすることで味わえるカタルシスが人気を読んだ要因と言えるでしょう。

肝心の楽曲も非常によく出来ています。
まるで童謡のようなメロディラインとアップテンポの気分を高揚させるリズムが交わり、観客と一体になるシンガロングのパートをたっぷり盛り込んだ非常にわかりやすい内容です。
ここに強烈極まりない歌詞を乗せることで見事な化学反応が生まれました。

観客との一体感を何よりも大切にしており、アレンジからもそれが伺えます。
しつこいほど飛び出す合いの手や中盤のF.U.C.Kのコールなどは、ライブのステージでこれ以上なく映える演出です。
この曲は是非ともMusic Videoと楽しんで欲しいと切に思います。
着ぐるみと一緒に踊る明らかに安っぽい子供番組のコーナーのような微笑ましい内容ですが、間奏のセリフに対しての適当すぎる字幕や上部に表示される天気予報などに遊びごごろが満載です。

ここまで徹底した内容だと、国や言葉の壁は容易に取り除けます。
細部まで計算し尽くされた最高に馬鹿馬鹿しく、そして痛快な歴史的名曲だと感じます。
今後、どれだけ時が流れようとスタンダードとして愛されることでしょう。

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