ハウス・オブ・ローズ / オール・ザ・ウェイ・トゥ・ヘヴン (2006)
1987年にロサンゼルスで結成されたハードロックバンド。
2006年に発表された5枚目のアルバム[World Upside Down]の3曲目に収録されています。
70年代に活躍した[Angel]のキーボードを担当していたGregg Giuffriaが、自身のバンドである[Giuffria]を発展させて結成しました。
1993年に一度解散しましたが、2000年に再結成されてからちょうど2作目にあたります。
復活作は、これまでの音楽性から大きな変化を遂げたプログレッシヴメタルとオルタナティヴロックの要素を取り入れたものでしたが、それに続く本作はデビュー当時のメロディアスハードロック路線を突き詰めた王道中の王道サウンドが蘇って多くのファンが歓喜しました。
その中でも特に強烈な哀愁を放っているのがこの曲です。
極めてシリアスで重い雰囲気の内容を、James Christianがソウルフルで絞り出すような素晴らしい声で歌い上げています。
結成からたった1人残った唯一のメンバーですが、彼の声こそがHouse Of Lordsの象徴です。
壮大さを感じさせるシンフォニックなシンセのアレンジは、前作には参加をしていなかったバンドの創設者であるGregg Giuffriaのバックアップあってものもです。
実業家として大成功した彼はフルタイムでの参加はできなくなりましたが、裏方としてバンドを支えています。
また、James Christianの妻であり80年代後半には世界的なヒットを放ったRobin Beckのプロデューサーを務めている Jeff Kentがベースの演奏やソングライティングで前面的に関わっているのも、従来の王道なメロディアス路線に戻ってこれた要因であることは間違いありません。
バックの演奏も、[Thunderhead]や[David Wayne]のバンド等で活動を共にしていたギターのJim BellとドラムのB.J. Zampaが電撃加入となり、ストレートで非常に力強いメタリックな仕上がりとなっています。
この手の音楽は、どうしても小慣れてモッタリした演奏になりがちな弱点を持っています。
そこをビシっと締めてくれるだけで、逆にメロディが引き立つプラスの相乗効果が見事に働いています。
このバランスを保つのも、プロデューサーの功績です。
復活し、別の方向に進みかけたバンドを見事に元の路線に戻したばかりか、過去最高のパワーアップを遂げたメロディアスハードロック史に輝く名曲です。
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