アイコン / デンジャー・コーリング (1985)
1979年にアリゾナ州フェニックスで結成されたヘヴィメタルバンド。
1985年に発表された2枚目のアルバム[Night of the Crime]の3曲目に収録されています。
アメリカのバンドながら、ヨーロピアンな哀愁に彩られたメロディで人気を博したバンドです。
Mike VarneyのプロデュースでCapitol Recordsからリリースされたデビューアルバムの[Icon]は、派手なルックスとは裏腹にブリティッシュメタルにも通じるシリアスな内容でマニアの間で人気に火がつきます。
人気に反してメンバーの負傷のトラブルでプロモーションツアーができずに売り上げが伸び悩みますが、Eddie Kramerをプロデューサーに招いて商業的な成功を図った本作を発表。
その中から、哀愁の溢れるメロディが人気のミドルナンバーがこちらです。
[Judas Priest]や[Lee Aaron]に楽曲提供を行なっていたBob Halligan Jr.と共作したこの曲は、都会の冷たいコンクリートジャングルをイメージさせるクールな雰囲気に溢れています。
真っ先に耳残るのが、キャッチーで耳に残る強烈なサビです。
エモーショナルに歌い上げられる[Sheila E.]の[The Glamorous Life]にも似たメロディラインは、一度聞いたら耳にこびりついて離れません。
アレンジも非常に練られています。
どっしりと重いミドルテンポの楽曲であることを活かして、音の隙間を意図的に作ったアンサンブルはメロディを引き立てるのに役立っています。
サビを歌い終わった後にカウンターとして流れるツインリードのハーモニーなんて、まるで二人のシンガーが掛け合いをしているかのような清々しさです。
また、時代を感じさせる深い残響のかかったサウンドもプラスに働いています。
あまりやり過ぎると銭湯の中にいるようなサウンドだと皮肉られるリスクも孕んでいますが、楽曲の雰囲気と不思議なほど合っており不自然さは全く感じません。
アルバムデビューをした後はロサンゼルスを拠点に活動していた関係でへアメタルのとして紹介されることが多いのですが、個人的には音楽性があまりにもかけ離れていると思います。
哀愁が漂う80年代のAORやメロディアスハードロックを愛好するリスナーにこそアピールできのではないでしょうか。
残念ながらセールスは失敗し、日本での知名度もそこまで高くはありません。
ですが、この曲を知っていることがマニアの矜持として愛されている隠れた名曲です。
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