クラフトワーク / 人間解体 (1978)
1970年にドイツで結成された電子音楽グループ。
1978年に発表された7枚目アルバム[The Man Machine]の6曲目に収録されています。
電子楽器だけを用いた新しいスタイルのサウンドを作り上げ、後にテクノポップやEDMといったジャンルが生まれる土台を作り上げた偉大なグループです。
初めての試みの連続に試行錯誤を重ねていた中、アメリカのラジオ番組で取り上げられて世界的な人気に火がつきます。
それに伴い、徐々にポピュラーミュージックへの融合を押し進めていた中で発表された本作は、電子音楽であるテクノと大衆音楽であるポップスを融合したテクノポップと呼ばれ、ジャンルを代表する歴史的名盤となりました。
日本でも赤と黒を基調としたジャケットと[人間解体]の強烈な邦題によって知名度の高い作品から、単純な音の繰り返しが空虚な雰囲気を演出しているラストナンバーがこちらです。
シンセのリズムシーケンスが曲のは始まりから最後まで途切れなくひたすら繰り返され、そこに様々な音が数珠繋ぎのように重なっていきます。
冒頭でアナログシンセの単音リフ、次にベースパート、そしてシンセドラム、気がつけばフィルターのかかったシーケンスフレーズといった具合に違和感なく重なり合うアンサンブルは、積み木で塔を立てているかのような感覚を覚えます。
加工された声で繰り返し呟くように『Mensch-Maschine Mensch-Maschine (人間-機械 人間-機械)』と綴られる言葉は、当時のまるで感情を持たずに機械のように命令に従って動く人間を皮肉っているかのようです。
おそらく、社会主義に染まって経済が停滞していた自国の西側の情勢を見て感じたのではないでしょうか。
単純なようでいて決して陳腐にならず、かといって難解にもならないよう綿密な計算に法って構築されており、BGMとしても心地よく聴けます。
何かに没頭している時、集中力を高めるために延々とリピートできる不思議な魔力を持っています。
数年後にゲームミュージックとして生まれ変わり、やがて様々な形式へと発展する原点となった歴史的名曲です。
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