サクソン / トップ・オブ・ザ・ワールド (2015)
1977年にイングランドで結成されたヘヴィメタルバンド。
2015年に発表された21枚目のアルバム[Battering Ram]の8曲目に収録されています。
[Judas Priest]や[Iron Maiden]と共にブリティッシュメタルシーンを最前線で引っ張ってきた大ベテランバンドです。
音楽性の変化やセールス面での浮き沈みはあったものの、一度も解散せずコンスタントに作品を発表し続けています。
2013年には売れっ子プロデューサーであり、[Sabbat]のギタリストとしても知られるAndy Sneapのプロデュースでよりハードでヘヴィな作風の[Sacrifice]を発表してファン達に現役をアピールします。
ほぼ同時に過去の名曲をオーケストラやアコースティックでアレンジした[Unplugged and Strung Up]とライブアルバムの[St. George’s Day Sacrifice: Live in Manchester]を発表してツアーに乗り出します。
ファンからの期待が高まる中、同じ布陣の同じ路線での第2弾である本作を発表。
派手さは無いながらもブリティッシュメタルの伝統を貫いた作風で多くのファンを歓喜させました。
その中から特にメロディアスな面が強調されたナンバーがこちらです。
時代に合わせて音楽性を変化させてきたバンドですが、ヘヴィメタルとしての激しさはこの時期が最も色濃く出ています。
スピード感のあるギターリフと美しいツインリードのハーモニー。
古き良きブリティッシュメタルの伝統を保ちつつも、最先端のレコーディングテクノロジーを駆使してよりハードにエッジの効いたサウンドに挑戦をしています。
オーソドックスなヘヴィメタルを信条としているだけあって飛び抜けた個性を持ち合わせていないバンドですが、その中で一際光るのが
結成当初からバンドを支え続けているBiff Byford(Vo)です。
声域は狭いのですが一度聴けば彼だとわかる個性的な声はファン達を虜にし、彼らはバンドがどんな方向性に進もうとも熱狂的に追いかけます。
この当時で既に還暦を迎えているのですが、その声は衰えを知らずパワーも表現力も更に増しているように聴こえます。
彼の声がある限りはバンドは安泰だと再認識させられました。
また、盛り上がりそうで最高潮まで盛り上がりきらないアレンジも聴いていると癖になります。
この痒いところにギリギリ手が届かずにリスナーを満足させきらない匙加減がバンドが飽きられずに長年支持されている要因のようにも思えます。
ファンの望んでいるポイントは決して外さないだろうという信頼感と、次こそは満足させてもらおうという期待感をうまい具合にコントロールしています。
このあたりは、ジャンルは違えど[AC/DC]にも通じるものがあります。
伝統的なブリティッシュメタルを見事に時代に合わせたテクノロジーで蘇らせてくれました。
派手さはありませんが、ベテランバンドの底力が味わえる名曲です。
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