【曲紹介】Def Leppard / Armageddon It

デフ・レパード / アーマゲドン (1987)

1977年にイングランドで結成されたロックバンド。
1987年に発表された4枚目のアルバム[Hysteria]の6曲目に収録されています。

ヘヴィメタルバンドとしてデビューするも、ジャンルの枠を超えて成功を手にしたベテランバンドです。
結成当初は[Judas Priest]や[Iron Maiden]と共にNWOBHMのムーブメントの代表格としてシーンを大いに賑わせます。
しかし、当時[AC/DC]や[Foreigner]のヒットアルバムを手がけたRobert John “Mutt” Langeをプロデューサーに迎えた[High ‘n’ Dry]がBillboardチャートにランクイン。
続く[Pyromania]は全米2位に輝き、イングランドから世界に羽ばたくモンスターバンドへと成長を遂げます。
しかし、1984年末にRick Allen(Dr)が交通事故で左腕を失うアクシデントが発生。
一時期は解散の危機に陥りますが、シモンズ社が右腕と両足で演奏できるエレクトリックドラムを開発したおかげで見事に復帰を果たします。
バンドは1984年の夏からセッションを繰り返してきたマテリアルを組み立て、Robert John “Mutt” Langeによる綿密なミックス作業によって4年ぶりのアルバムを発表し1ます。
膨大な時間と制作費をかけて完成させた本作は、全英チャート全米チャートで初登場1位を記録したばかりではなく80年代のポピュラーミュージックを代表する名盤となりました。
その中から、全米シングルチャートの3位を記録した骨太なミドルナンバーがこちらです。

前作に収録されていた[Photograph]の流れを汲む、シンプルなリズムとキャッチーなサビが光る王道のアリーナロックです。
澄み渡ったクリアなサウンドに、インパクト絶大なコーラスワークが非常にゴージャスな印象を与えます。
一聴しただけではよくできたヒットシングルという印象しか残りませんが、耳をすませて聴くと実に綿密なアレンジが施されていることがよくわかります。

2本のギターが奏でるカラフルなフレーズが絡み合い、時には掛け合って一つの素晴らしいアンサンブルを奏でています。
淀みのないくっきりとしたサウンドメイクは、これまでのヘヴィメタルには無かった斬新なものでした。
ここまで幾何学的に練り込まれているにも関わらず、シンプルで嫌味なく聞き流せるには時間をかけた構築が必要不可欠。
膨大な労力をかけた賜物です。

土台を固めるRick Allen(Dr)のドラミングも、事故のリハビリ明けとは思えないほど冴えています。
エレクトリックドラムを使用しているために細かい音の強弱が表現できない弱点がありますが、それをアレンジで補った結果が功を奏しています。
シンプルを極めたリズムの土台にバランスよく肉付けをすべく無駄なく塗り固められた弦楽器による装飾は、広いアリーナを照らすかの如くギラギラと強い光を放っています。

多くの苦難を乗り越え、ブリティシュロックの垣根を軽く飛び越えたワールドワイドでゴージャスなサウンド。
80年代のロック史に大きな楔を打ち込んだ名曲です。

Def Leppardの他の楽曲紹介はこちら!

アルファベット別の記事一覧はこちら!

記事一覧(アルファベット順)
これまで紹介した記事をアーティスト名のアルファベット順で並べています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました