ブラインド・ガーディアン / ジャーニー・スルー・ザ・ダーク (1992)
1984年にドイツで結成されたパワーメタルバンド。
1992年に発表された4枚目のアルバム[Somewhere Far Beyond]の2曲目に収録されています。
ファンタジーをモチーフにしたシンフォニックなパワーメタルの代表格として人気のあるベテランバンドです。
No Remorse Recordsより発表した3枚のアルバムは、弱小レーベルからの発売ながらも着実に多くのファン達の耳に届きました。
それには[Helloween]を脱退したKai Hansenが彼らを気に入り、惜しみないバックアップを送ったことが後押しとなっております。
その人気に目をつけたVirgin Recordsがバンドに契約を持ちかけ、1991年には晴れてメジャーデビュー。
これまでとは比べ物にならないほど充実した予算のもとでじっくりと時間をかけてのレコーディングを行います。
こうして完成した本作は、スピーディーでパワフルなアンサンブルと重厚なコーラスワークが彩るバンドの代表作として多くのファンから愛される名盤となりました。
その中から、スピーディーで緊張感のあるハイテンポの人気ナンバーがこちらです。
ザクザクしたギターリフやドタバタと強引なビートでドラムパートが非常にアグレッシヴで、数ある名曲の中でも特にテンションの高い楽曲として人気があります。
高速で刻まれるバッキングの刻みは、スラッシュメタルと分類しても遜色の無いレベル。
当時のリスナー達の驚きをもって迎えられました。
凄まじいアグレッションは、アメリカのスラッシュメタルやスピードメタルからの影響によるものです。
そこに[Queen]のような大仰なコーラスワークやメロディックなギターソロを導入するコンセプトで作曲を重ね、それが完全なる融合を果たした到達点がこの曲だと思います。
血管がはち切れんばかりにシャウトを連発するHansi Kürsch(Vo/Ba)のパフォーマンスも鬼気迫るものを感じます。
普段はメロディックに歌い上げるパートも多い彼ですが、これこそが本領を発揮するスタイルだとでも言わんばかりに活き活きとしています。
もちろん、サビでは重厚なコーラスと共にキャッチーなメロディを歌い上げるところは見事の一言。
優れたメタルシンガーであるとつくづく再認識させられました。
バンドのブレーンであるAndré Olbrichが構築したギターパートは、圧巻の一言。
メロディックなハーモニーを交えながら展開に合わせて次から次へと繰り出されるギターリフ。
そして、そのリフの間を縫うようにソロパートが縦横無尽に現れるので、あまりの慌ただしさに展開を追うことすら困難です。
そこに合わせて一体どれだけの手数足数をねじ込めるのかと思うThomas“Thomen”Stauch(Dr)のプレイが激しさに拍車をかけます。
正確なリズムを刻むよりも荒々しい前のめりなプレイが得意な彼ですが、まさに彼のようなドラマーに相応しいアレンジです。
自分の持っているテクニックギリギリの部分を攻めているのがよくわかる緊張感は、楽曲のテンションをグッと締まったものに仕上げました。
メロディック、ハイテンション、アグレッシブの全てが揃った楽曲に多くのファン達は狂喜乱舞したことでしょう。
90年代のメロディックパワーメタルを代表する名曲です。
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