【曲紹介】Rainbow / A Light In The Black

レインボー / ア・ライト・イン・ザ・ブラック (1976)

1975年にイングランドで結成されたハードロックバンド。
1976年に発表された2枚目のアルバム[Rising]の6曲目に収録されています。

[Deep Purple]を脱退したRitchie Blackmoreが中心となり、様式美に溢れたハードロックサウンドで人気を博したバンドです。
ニューヨークのハードロックバンド[Elf]のメンバーをバックに従えてレコーディングされたデビューアルバムは、土着的なブルースロックと英国の貴賓に溢れるメロディアスなサウンドが融合された名盤として多くのファンから好意的な評価を得ることに成功しました。
しかし、アルバム発売直後にバンドが目指す方向性の違いからシンガーの[Ronnie James Dio]を除いたメンバー全員を解雇。
すぐさま新メンバーのオーディションを行った結果、ローカルバンドでプレイをしていたJimmy Bain(Ba)とTony Carey(Key)と[Jeff Beck Group]やソロアーティストとして実績のあるCozy Powell(Dr)が加入。
新たな布陣で派手でドラマチックな部分を全面に押し出したニューアルバムは、様式美ハードロックの雛形として時代を超えて愛される代表作となりました。
その中から、アルバムの最後を飾る8分以上にも渡るアグレッシブなスピードナンバーがこちらです。

Cozy Powellの強烈なスネアの連打を合図に始まるソリッドで攻撃的なギターリフは、これまでのハードロックでは聴くことのできない独特の緊張感があります。
ブルージーな要素はほぼ消え去り、クラシカルでヒロイックな雰囲気が楽曲全体を支配しています。
数年後に生まれるヘヴィメタルと同じ空気感を持つ楽曲がこの時代に存在していたことが驚きです。

まるで全ての楽器が己の体をぶつけ合っているかのようなアンサンブルの応酬には圧倒されるばかり。
特に、2:40秒から始まる3分半にも及ぶソロタイムはハードロックの歴史に残る名演です。
[Ronnie James Dio]のシャウトが終わると、Cozy Powellが「まってました」とばかりに打ち鳴らすツインバスの連打に乗ってTony Careyが宇宙を感じさせる音色でシンセソロを始めます。
そのボトムを支えるのがJimmy Bainの弾くアタックの強いゴリゴリしたベースライン。
決して派手なプレイはしていないのですが、独特のスイング感を持っているので曲全体のリズムを見事に支配しています。

テンションが最高潮に達したときに「主役を忘れてもらっちゃ困るぜ!」とRitchie Blackmoreもバトルに参加。
Tony Careyのフレーズにハーモニーを奏でるようにギターを重ね、そのままギターソロへ傾れ込みます。
シンセの派手な音色から芯のある骨太なギターサウンドになったことでリズムセクションの音も浮き彫りになり、緊張感が否応にも高まります。
テクニカルなプレイはあまりしていないのですが、浮遊感のあるリズムで気ままに弾かれるアドリブのプレイは再現不可能。
次にはどんな音が飛び出すのだろうと手に汗握る名演です。

一般的なレコーディングはそれぞれのパートを順番に録音をして音を重ねる方式が多数を占めるのですが、この曲は全ての楽器が一斉に演奏をするライブレコーディングの方式がとられています。
つまり、誰か1人がミスをしたら全てのパートがやり直しを余儀なくされるのです。
一瞬たりとも気の抜けない難易度の高いやり方ですが、全員のテンション次第では通常のレコーディングでは到底不可能な生々しいテイクが生まれることも。
この曲に関しては、まさにそれが大成功した例です。
Cozy Powellがインタビューで”この演奏ができたことを誇りに思うのと同時に二度と再現不可能な奇跡のテイクだ”と語っています。
まさに、その通りだと思います。

一触即発の緊張感の中で生まれた瞬間の美学とも言えるベストテイク。
それを名曲として永遠に保存ができたのですがら、彼らの偉業を末長く語り継ごうではありませんか。

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