ソナタ・アークティカ / ウルフ・アンド・レイヴン(2001)
1995年にフィンランドで結成されたパワーメタルバンド。
2001年に発表された2枚目のアルバム[Silence]の12曲目に収録されています。
メロディックパワーメタルの期待の新人として鮮烈なデビューを飾った前作[Ecliptica]は、北欧らしい叙情的なメロディと、若さ溢れる疾走感が同居する名盤として多くのファンを獲得。
同郷の大先輩であるStratovariusのツアーに参加して実力をつけたバンドは、早くもセカンドアルバムのレコーディングへと舵を取ります。
世界中のファンからの期待が込められた本作は、デビューアルバムの延長線上にある非常にメロディアスでパワフルな作品に仕上がりました。
その中から、初期の代表曲とも言えるスピードナンバーがこちらです!
ギターとシンセをユニゾンさせたテクニカルとリフにツインバスの高速連打を主軸にしたハイスピードなドラムが中心となる、所謂メロディックスピードメタルと呼ばれる典型であり、初期Sonata Arcticaのファンが最も好むスタイルです。
緊張感に満ち溢れており、ひたすら同じフレーズを繰り返すためにインパクトが絶大なイントロでもあります。
歌メロも出だしから非常にキーが高く、ハイテンションに歌い上げなければならないので大変です。
Tony Kakko本人もライブでは完璧に再現できないほどに難易度の高いAメロパートですが、このスタジオテイクでは凄まじい希薄で歌い切っています。
この曲の魅力は、Bメロで聴ける強烈な哀愁です。
北欧のバンド特有の抒情性と儚さを兼ね備えたメロディラインは、80年代のヘヴィメタルには殆ど使われなかった新鮮な響きです。
Bメロが強烈だからと言えど、サビでもテンションはそこまで落ちずに勢いで押し切れるのは、メンバーの平均年齢が20歳前後である若さが原動力だと感じました。
若いだけあり、よく聞くとバンドアンサンブルは粗く聴こえる部分もありますが、このアレンジならばそこも味として楽しめます。
ひたすら同じ展開を繰り返すアレンジであるからか、中間部分で無理矢理曲調を変えてソロタイムを設けています。
取ってつけたような展開だと思うですが、これが無いと途端に一本調子になってしまうので、必要不可欠な要素です。
クラシカルな旋律と水晶のように煌めく透明感に満ち溢れたアレンジ、そこにハイテンポな演奏を乗せる日本人好みの要素を兼ね備えた名曲です。
一時的に下火となっていたメロディックメタル人気が盛り返す決定打となりました。
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