フリーダム・コール / スピリット・オブ・ダイダロス (2019)
1998年にドイツで結成されたメロディックパワーメタルバンド。
2019年に発表された10枚目のアルバム[M.E.T.A.L]の2曲目に収録されています。
[Hellooween]や[Gamma Ray]直径のハッピーなメロディックパワーメタルを貫くベテランバンドです。
リーダーのChris Bay(Vo/Gt)を中心にメンバーチェンジを繰り返しつつもコンスタントに活動を続け、これまでに9枚のアルバムをリリース。
2016年には初の日本公演を行い順風満帆な活動かと思いきや、2018年にはChris Bay(Vo/Gt)とLars Rettkowitz(Gt)以外のメンバーが脱退してしまう憂き目に遭います。
ユニット形式での活動を余儀なくされますが、諦めずにニューアルバム発表に向けての作曲を続けます。
新メンバーとしてイタリアの[Vexillum]でも活動しているFrancesco Ferraro(Ba)と元[Bonfire]のTim Breideband(Dr)が加入しますが、Tim Breideband(Dr)は2枚のシングルをレコーディングした時点で脱退。
アルバムのレコーディングは[Masterplan]や[At Vance]に参加しているKevin Kott(Dr)と、引退していたオリジナルメンバーのDan Zimmermann(Dr)をゲストに迎えて行いました。
前作から3年ぶりに発表された本作は、Chris Bayから”Happy Metal”と呼び称される通り明るく前向きなメロディに満ちた力作となりました。
その中から、初期の音楽性に回帰したクラシカルな旋律が特徴的なスピードナンバーがこちらです。
大真面目にやっているのにどこかコミカルに聴こえる、まるでテーマパークのアトラクションのようなメロディが強烈。
そこにツインバスのスピーディーな連打で疾走するリズムが加われば、メロディックパワーメタルのお手本となるアレンジの完成です。
二番煎じや没個性と言われようが、ここまで基本を踏襲してキャッチーなメロディを奏でてくれたら納得するしかありません。
サビでは[Accept]さながらの重低音のコーラスが飛び出し、ギターソロはツインリードでメロディアスに決める。
4分足らずでスッキリと終わらせる無駄の少ないアレンジ。
どこを聴いてもこれといった隙がありません。
結成当初は多少の線の細さがKai Hansenと比較されていたChris Bay(Vo/Gt)の声がパワフルになっており、2014年以降オリジナルアルバムを発表していない[Gamma Ray]の後継バンドと言っても差し支えないほどの貫禄を見せています。
タイトなアンサンブルも申し分なく、特に安定したリズムを叩き出すKevin Kott(Dr)の職人的プレイは流石と言ったところ。
先人達の手垢がべったりと付いた内容を、ここまで堂々と楽しみながら仕上げられるのもある意味才能でしょう。
スローガンに掲げた”Happy Metal”には、”明るく前向きなMetal”という意味だけではなく”自分たちが心から楽しんで奏でられるMetal”という意味も含まれているのだと思います。
[Accept]が種を蒔き、[Helloween]が発芽させ、[Gamma Ray]が開花させたジャーマンメロディックメタル。
その伝統文化が真っ当に承継していると感じさせる名曲です。
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